世界でがんばっている場所に行く
コスタリカは、2022年サッカーワールドカップで日本と対戦した国だよ! 小学生のみんなも試合を見てたかな?
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日本から遠い中米(中央アメリカ)の国、コスタリカを知っていますか? 南米(南アメリカ)とメキシコをつなぐ間にあります。国の大きさはちょうど九州と四国を足したぐらい、約5百万人が暮らしています。
小さな国ですが、「世界で最も幸せな国」として何度もトップになり、CO2を出さない “カーボンフリー”を実現する最初の国になるのではと世界で注目されています。
カリブ海と太平洋にはさまれ、日本と同じく火山があり、国土のおよそ 4 分の 1はたくさんの野生動物が暮らすジャングルです。いろいろな種の動植物が生息する「生物多様性」が豊かな国としても知られています。
電力の98%以上を水と風、地熱で発電
コスタリカは2015年頃から、電力の98%以上を水や風、太陽などの自然の力を使うエネルギーでまかなっています。一番多い発電方法は水力で、約70%を占めます。その他に地熱が14%、風力が13%と続きます*1。
雨季と乾季がはっきりしているコスタリカは、雨の多い雨季には水力発電が活躍し、雨が少ない乾季の終わりごろになると、水力発電を補うために、火山地帯などの地中の熱を使った地熱発電が働きます。地熱は年間を通じて供給が安定しているからです。火力発電もありますが、ここ数年、使うことはほとんどないそうです。これは、水力発電が盛んな屋久島と同じですね。
今後は、自動車や電車から出るCO2を減らそうと、電気自動車の導入や、ディーゼル機関車から電気で走る電車へ置きかえていくことなどを予定しています。
また、豊富な水を利用して、水を分解して水素を作る工場の計画もあります。水素は、石油や石炭、天然ガス、ガソリンなど化石燃料の代わりに使えるので、CO2を出さないエネルギー源として注目されています。
- *1 コスタリカ電力公社2022年7月発表
森を大事にしたら、たくさんの動植物が集まるように
コスタリカでは、エネルギー源を自然からのものに変えるだけでなく、CO2を吸収する森の回復にも力を注いできました。
一時は、農業の土地を広げるためなどに木を切ってしまい、森林の面積が国の広さの2割程度まで減ってしまっていました。しかし、森を守るとその森の持ち主にお金が支払われる制度などを作って、森の保護を続け、今は5割まで回復しました。このお金はガソリンから得られる税金などから支払いました。森林はCO2を吸収してくれると同時に、コスタリカの主要な産業である観光を支える力にもなっています。
今は、国土の4分の1が自然保護区として守られていて、この多彩な自然を体験しようと世界各国から多くの人が訪れます。カリブ海と太平洋にはさまれ、熱帯雨林から高地までいろいろな自然にあふれたコスタリカには、世界の生物種の約5%が生息し、870種以上の鳥類、約5万種の昆虫がいます。
コスタリカで会える絶滅危惧種の生物たち
もっとしりたいキミへ!
どうしてコスタリカは「世界で最も幸せな国」なの?
コスタリカは今から約70年前に、日本に次いで平和憲法を作り、軍隊を廃止しました。そして「兵士よりも多くの教師を」を合言葉に、軍事にかかっていた費用を教育や福祉などにあてました。そのため、公立高校までの教育費や医者にかかる費用などは、無料です。
一般的に治安が悪いと言われがちな中南米ですが、コスタリカは軍隊もないのに治安が良く、貧しい人の割合「貧困率」も低く、教育が普及しているので、文字を読めない人はほとんどいません。
国民が意識しているのは「民主主義、人権、環境」で、これが平和の根本にあると考えています。そのため、コスタリカの小学校では環境問題や民主主義についても具体的に学びます。たとえば、選挙の時は小学生も教室で政党別に分かれて意見を発表したり、模擬選挙もします。そういった子どものころからの対話や行動によって、自分の問題として政治を考えていくようになり、民主主義や人権についての意識を身につけていくのです。
おおらかなコスタリカの人の合言葉は「プラ・ビーダ(Pura Vida)」。うれしい時、あいさつする時はもちろん、落ち込むことがあってもPura Vida! シンプルに生きること、人生の小さなことも大きなことも楽しむこと、平和、自然を大切にすることもPura Vida! です。