世界の困っている場所に行く
台風や大雨で川の水があふれる「洪水」が、以前に比べて世界各地でたくさん起こっているよ。なぜだろう?
目次
地球があたたかくなったことで、強い雨がふりやすくなり、世界中で大きな洪水が起こっています。日本でも最近は40年前とくらべて大雨が起こるひんどがおよそ2倍にふえていると気象庁がほうこくしています。世界や日本でふえている大雨や洪水には、地球温暖化がえいきょうを与えています。
なぜ地球があたたかくなると、強い雨がふるの? 小学生のみんなはわかるかな?
なぜ洪水がよく起こるようになったの?
雨は、雲の中の水てきが大きくなって落ちてきたものです。雲は、空に上がった空気中の水分(水じょう気)が集まってできたものです。水じょう気が多いと、雲が大きくなりやすく、雨もたくさんふります。
地球があたたかくなる地球温暖化で気温が上がると、水じょう気がふえます。たとえば気温が1℃上がると、水じょう気は7~10%ふえると言われています。水じょう気がふえると大雨になりやすく、洪水のもととなります。
とくに、あたためられた海から上がったたくさんの水じょう気が、空気の中に「見えない川」のようなものをつくり、大きな雲となって強い雨をふらせることがわかっています。
2022年に起こった世界の大きな洪水
ブラジル
2月にブラジルで洪水が起こって、家や車が流されました。短い時間に限られた地いきで大量の雨がふる集中豪雨によって起きたものです。
オーストラリア
7月には、オーストラリアのシドニーでも洪水が起こって、5万人の人たちが住んでいる場所からはなれて避難しました。
ナイジェリア
アフリカにある国のナイジェリアでは、秋から何ヶ月間も何回にもわたって大雨が続きました。そのため、約84万人もの子供たちが家に住めなくなりました。
パキスタン
中でも被害が大きかったのが、南アジアにある国のパキスタンです。雨がいつもの8倍以上ふり続き、洪水が起きて、国の面積の3分の1が水につかりました。
パキスタンの面積は、約79万6000㎢。日本の2倍くらいの広さの国だよ。
この洪水で、約2万7000もの学校の校舎がこわれてしまい、200万人の子供たちが学校に通えなくなりました。
また、雨がやんだあとには、水がたまった場所に虫のカが卵をうみ、たくさんのカが発生しました。カの中には、マラリアなどの病気を運ぶものもいます。病気で亡くなる子供たちがたくさんいました。
もっとしりたいキミへ!
パキスタンの洪水が起こった理由
2022年のパキスタンの洪水は、いつもの年より気温が高くなったために氷河がとけて、川の水がふえていたところに、1年のうちで雨が多い「雨季」という時期が重なり、大量の雨がふって起こされたものです。
氷河は、とても寒い地いきや、高い山などにあるんだ。雪が長い間とけずに残り、さらに雪がどんどん上につもって固まって、氷になったものだよ。ふつうは、川の水が流れるように、ほんの少しずつ氷が流れているんだ。
気温が上がると山の氷河がとけやすくなり、川の水の量がふえたり流れがはやくなったりします。これも大きな洪水が起こる理由のひとつです。
パキスタンの政府は「この被害は地球温暖化を原因とした気候変動によるものだ」と言い、「地球をあたたかくしてきた温室効果ガスを、世界全体の1%しか出していないパキスタンが、このような被害にあうのは不平等だ」とうったえました。