世界でがんばっている場所に行く
北欧は、世界でも環境への取り組みがいちばん進んでいる地いきのひとつ。その中でもスウェーデンは、世界のお手本になるような町づくりをしているんだ。
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スウェーデンの首都、ストックホルム市にある「ハンマルビー・ショースタッド」(ハンマルビー地区)は、町のあちこちに水路が通り、海とつながる運河もある緑の多い人気の住宅地です。
このハンマルビー地区は、以前は工場や古びた港があるだけの、あれた地いきでした。しかし、ストックホルム市が1990年代から環境に良い町づくりを行い、今ではごみなどを資源として活用するエコな町となっています。
中でもお手本にしたいのが、ごみをむだにしないで、エネルギーとして使っていることだよ。
ごみを集めてエネルギーを作る
住民は家庭から出るごみを分別して、町の中にある「ごみシューター」に入れます。「ごみシューター」は、地下のパイプでごみ集積所へつながっていて、ごみはこのパイプを通って自動的にごみ集積所に送られます。
集められたごみのうち、燃えるごみは燃やして電気を作るエネルギーにします。また、燃やしたときに出る熱は、室内をあたためる暖房などに使います。
小学生のみんなは、自分が住む町のごみの分別方法を知っているかな?
生ごみからできた燃料で走るバスやフェリー
また、生ごみや下水のどろなどは、分解してガス(バイオガス)を発生させます。そのガスを集めて、町を走るバスやフェリーなど公共の乗り物の燃料にしたり、家庭のキッチンで使うガスにしたりします。
このようにハンマルビー地区に住む人たちは、自分たちが出すごみで、暮らしに必要なエネルギーの半分をまかなっています。
もっとしりたいキミへ!
ごみから作られるバイオガスとは?
細菌やカビなどの微生物は、栄養となるものを体に取りこんで分解するよ。そして生きるためのエネルギーを作り、別の物質を出す。これを「発酵」というんだ。
微生物が生ごみなどを分解することで発生するガスには、「メタン」という燃えやすい気体がふくまれていて、発電の燃料に利用できます。また、メタンガスを燃やしたときに出る熱は、室内をあたためる暖房などに使えるのでむだがありません。
家のトイレやキッチン、おふろ場などから流れ出るよごれた水は下水とよばれますが、そこにも大事な資源がたくさんふくまれています。これを生ごみなどと同じように微生物で発酵させてメタンガスを作ると、バイオガスとして使うことができます。
バイオガスは調理用のガスをはじめ、車やバスなどを動かしたり、電気を作ったりする燃料として、さまざまな使い道があります。また、微生物の食べ残し(汚泥かす)は畑にまいて、農作物の肥料としても使えます。