未来は変えられる
このまま地球温暖化が進んでいったら、みんなの未来はどうなるんだろう? でも、心配ばかりしていてもしょうがない。できることから始めよう。みんなが力を合わせれば、未来はきっと変えられるはずだ。
小学生のみんなができること
できる! - 子供でも、地球のためにできること、いろいろあるよ
どこが 問題なの?
地球温暖化をはじめとした環境問題。小学生のみんなが大人になるころ、安心して地球で暮らせるのか心配だね。みんなも「このままじゃ地球があぶない、何かしなくてはいけない」と考えているはずだ。
でも、自分だけが環境によいことを行っても、世界は変わらないと考えていないかな。それとも、世の中を動かしているのは大人たちだから、子供が何を言っても大人は聞いてくれないと思っていないかな。
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どんなに大きなグループでも、もとをたどれば1人ひとりが集まってできている。だから、まず1人でも始めてみよう。「たくさんの1人」が行動すれば、いずれ大きな力になるはず。それが正しいと信じるなら大人にえんりょすることはないよ。だって今の小学生は22世紀まで生きるんだから、まじめに地球温暖化を止めたいと考えるのは当然。自分で調べて、行動して、できることから始めてみない? 1人ひとりの「できる!」が地球の未来を変えていくと信じよう。
できる! - キミがいらなくなった物だって、ほかの人にはほしい物
どこが 問題なの?
今の世界人口は約80億人。これが2050年には97億人にふえるといわれている。地球の大切な資源で物を作り、いらなくなったら捨てていたのでは、陸も海もごみだらけになってしまう。地球上の資源は限られているから、できるだけ物を大切にして捨てない努力をすることが必要だね。これをむずかしい言葉で「循環型社会」というんだ。
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まずはリサイクルをしよう。使い終わったビンやカン、ペットボトル、紙、プラスチックなどはきちんと分別して、決められた収集日に出せばリサイクルされる。
それから、リユースも大切だ。いらなくなった洋服や本、おもちゃなどはフリマサイトなどで売ったり、ゆずったりすれば、捨てないですむね。フリマサイトを使うときは必ずおうちの人と一緒にやろう。
もちろん、いちばん大切なことはむやみに物をふやさないこと。これをリデュースというね。
できる! - 食べ物を大切に、捨てないようにしよう
どこが 問題なの?
まだ食べられるのに捨てられている食べ物(食品ロス)は日本だけで1年に約500万トン以上*1にもなる。たとえば自動車の重さが約2トンなので、250万台の自動車と同じ重さの食べ物がごみになっている計算だ。これをごみとして処理する費用は年間約2兆円*2。しかも、燃やせばたくさんのCO2が出て地球温暖化にもつながってしまう。
日本の食料自給率(日本人が食べている物を日本で作っている割合)は38%*3しかなく、たくさんの食べ物を海外から船や飛行機で運んでくるのだから、それを捨ててしまうなんてエネルギーのむだ使いにもなるよね。
- *1 農林水産省2022
- *2 環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等について」
- *3 農林水産省
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家庭から出る食品ロスの原因は、①食べ残し…57%、②いたんで食べられない…23%、③期限切れ…11%*1となっている。だから、食品ロスを防ぐには「食べ物を一度に買いすぎない」「いたむ前に食べる」といった工夫が大切になる。
また、食品には「賞味期限」と「消費期限」が年月日で表示されているけど、その2つのちがいを知っているかな?「賞味期限」とは、おいしく食べられる期限のこと。だから、きちんと保存しておけば、期限をすぎたからといってすぐに食べられなくなるわけではない。一方の「消費期限」は、その日をすぎたら食べないほうがよい。期限がくる前に早めに食べるようにしよう。
- *1 消費者庁調査
できる! - 水道もエネルギーを使うから、水をむだにしないでね
どこが 問題なの?
人が生きていくうえで、水はなくてはならないもの。でも、世界では約22億人*1が安全な飲み水が手に入らず、36億人*2が水の足りない生活を送っている。
日本は雨が多く、水道からいつでも清潔な水が出てくるが、川や湖から水を集めて、飲んでも安全なくらいきれいにして、みんなの家まで水道管を通して届けるために、たくさんのエネルギーが使われているんだ。
たとえば東京都では、1人が1日に使う水道水の量は214リットル*3もあり、これは世界平均の約2倍になる。そのうち、お風呂やトイレ、キッチンなどで使われる水が約80%*4。水やお湯の流しっぱなしはCO2を余計に出し、ガスや電気のむだにつながるということもおぼえておいてね。
- *1 ユニセフ・世界保健機関「JMP(水と衛生に関する共同監査プログラム)」
- *2 国連人口基金「世界人口白書2021」
- *3 東京都水道局2020年度
- *4 東京都水道局2015年度
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たとえばシャワーを1分間出しっぱなしにすると、500ミリペットボトル24本分の水やお湯が流れていってしまう。歯磨きや顔を洗う時なども、つい水道を出しっぱなしにしがちだけど、使わない時はシャワーや水道をこまめに止めて水やお湯を節約することが大事だね。
最近では世界中でエネルギーのねだんが上がってきて、水道やガス、電気の料金も高くなってきている。水のむだをなくすことは、おうちではらっている料金の節約にもつながるよ。
大人と一緒にできること
できる! - CO2を出さないエコな移動をしよう
どこが 問題なの?
人が移動する時、石油や電気で動く乗り物を使うことが多い。1人を1キロメートル運ぶ時に出るCO2の量が最も多いのがガソリン自動車。これに飛行機、バス、電車が続く*1。この中では電車がいちばんCO2を出さず、ガソリン自動車の約7分の1と少なくてすむので、自動車よりも電車やバスを使う方が環境によいことがわかるね。
- *1 国土交通省2019
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そうはいっても、石油や電気を使う乗り物はやっぱりCO2が出てしまう。じゃあ、CO2を出さない、いちばん環境にやさしい移動って何? それは自転車と歩きだ。近所に出かける時は自動車ではなく、自転車に乗るのがエコだね。
ヨーロッパのオランダやデンマークなどの国では、地球温暖化を防ぐために、町全体が、自動車よりも自転車が走りやすい道になっている。たとえば、デンマークの首都コペンハーゲンでは、朝夕、大人から子供まで、たくさんの人が自転車で移動しており、すでに市民の半数が会社や学校へ行く時に自転車を使っている。日本もそんなエコな町が早く増えてほしいね。
できる! - ときどきは、肉を食べない「ベジタリアン」になる
どこが 問題なの?
ウシやブタ、ニワトリなどの家ちくを育てるには、広い土地とたくさんのエサや水が必要。そのために、ちく産業は世界の温室効果(熱を宇宙へにがさない性質)ガスの約15%*1を出しているといわれる。中でもウシから出るゲップに含まれる「メタン」というガスは、CO2の27倍の温室効果を持っていて、ヨーロッパやアメリカでは、地球温暖化をおさえるために、肉を食べる量をへらそうという人たちがふえてきているんだ。
- *1 FAO(国連食糧農業機関)
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肉ではなく、野菜や豆などを中心に食べる人たちを「ベジタリアン」という。日本ではまだ多くはないけど、ヨーロッパやアメリカを中心にふえている。その理由は、森の木を切ってウシの牧場を作ったり、人間が食べられる物を家ちくのエサにしたりすることが地球温暖化につながると考え、それを止めたい人がふえているからだ。だから、みんなも週に1回でもいいから、肉を食べずに、野菜や豆(とうふやなっとうなど)を中心に食べる日を作ってみよう。野菜や豆には優れた栄養がたくさん含まれているよ。ときどき「ベジタリアン」になって、人と地球の健康を考えてみるのも大切だね。
できる! - かんたんなことで、電気のむだはへらせる
どこが 問題なの?
電気代やガス代が上がって困っていると、おうちの人から聞いたことないかな? その理由は、2022年ころから、天然ガスや石炭のねだんが急に高くなり始めたから。日本はエネルギーの約90%を*1輸入にたよっているから、天然ガスや石炭を燃やして電気を作る火力発電も、今までよりお金がかかるようになって、おうちの電気料金も上がっているというわけだ。電気のむだ使いを防ぐことは、地球のためだけでなく、おうちの支出をへらすためにも大事なことなんだ。
- *1 資源エネルギー庁
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では、おうちの電気を節約するにはどうすればいいんだろう? 家の中でいちばん電気を使うのは冷蔵庫、照明、エアコンなんだって。
冷蔵庫は、毎日休むことなく動いているから、電気をたくさん使うのはしょうがないけど、たとえば、季節の気温に合わせて設定温度を「中」や「弱」にする、なるべく食品をつめこみすぎないようにするといった工夫で電気代はへらせるよ。ただし、冷凍庫だけは食品をつめこんだ方が効率がよいから注意してね。
エアコンは、こまめにフィルターのそうじをすることで電気代も節約できる。みんなもフィルターそうじをおうちのお手伝いに加えてみよう。部屋の中の温度は、夏28℃、冬20℃くらいを目安にしてね。また、エアコンはスイッチを入れたばかりの時がいちばん電気を使うので、こまめにオン/オフするより「自動運転」にまかせておく方が節約になる。さらに、扇風機を一緒に使って部屋の空気をかきまぜるともっといい。
照明は、電球やけい光灯をLEDランプに取り替えよう。LEDランプは、電球の5分の1しか電気を使わず、しかも4万時間(1日8時間使って10年以上)長持ちするので大きな節約になるんだ。
できる! - プラスチックをできるだけ使わない生活をしよう
どこが 問題なの?
スーパーでお弁当やおかしを買うだけで、プラスチックの容器やふくろがごみになって出る。石油から作られるプラスチックは、じょうぶで便利だけど、ごみになってもくさらないので、何百年ずーっと残ってしまう。もちろん、プラスチックごみも分別して集められてリサイクルされているけど、日本ではその6割*1が燃やして熱として利用されているだけ。海外ではこれをリサイクルとは言わないんだ。
プラスチックごみは海の生き物にとってもあぶないもの。クジラやウミガメ、魚などにとっては、海中のプラスチックは泳いでいるエサのように見えるので、まちがって食べて死んでしまうことも多い。また、海の中で長い時間をかけてけずられたプラスチックは、小さくなってつぶつぶの「マイクロプラスチック」になって、魚たちの体に入ってしまう。私たちがこうした海の魚を食べると、人間の体内にもプラスチックが入ってしまい、健康への影響が心配されている。こわいね。
- *1 プラスチック循環利用協会2020
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プラスチックはリサイクルも大事だけど、使わない努力が大切。使い捨てのレジぶくろやペットボトルをやめて、布のエコバッグやマイボトル(水とう)を持ち歩こう。また、食べ物を冷蔵庫に入れる時も、使い捨てのラップではなく、くり返し使える「ふた付き容器」や「蜜蝋ラップ」を使うとよい。買い物をする時も、プラスチック製の物より、木や紙など自然の材料でできている物を選ぶなど、少しずつプラスチックを使わない工夫をしていこう。
できる! - グリーンを植えて、エコを育てる
どこが 問題なの?
小学生のみんなは知らなくてあたりまえだけど、日本の昔の夏は今ほど暑くなかったんだ。それが年を追うごとに少しずつ暑くなっている。たとえば、1980年代の東京都の猛暑日(気温35℃以上の日)は9日しかなかったけど、2010年代は80日に増えている。100年前と比べて東京都の平均気温は3℃も上がっているんだ。とくに緑の少ない都会の夏は、エアコンや自動車などから出る熱、アスファルトの照り返しなどで気温がますます高くなっていきつつある。
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こうした暑さを防ぐ手軽な方法に「緑のカーテン」がある。窓の外にネットを張り、そこにゴーヤやキュウリ、アサガオなどをはわせてカーテンのように窓をおおうと、夏の熱い日ざしをさえぎって部屋の温度が上がるのを防でくれるよ。ゴーヤやキュウリは野菜だから、暑さを抑えてくれるだけでなく、おいしく食べられるし、アサガオはかわいい花が咲くので一石二鳥だね。
できる! - 伝えよう、いっしょにやろう
どこが 問題なの?
地球温暖化は、未来を生きる子どもたちみんながさけては通れない大きな問題だ。ここで取り上げた以外にも、たくさんの問題があるし、その解決方法を考えている人たちもたくさんいる。みんなが知らないことはたくさんあって当たり前。まずは興味のあることを調べて、知ることから始めてみよう。
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みんながくらしている日本には、便利な道具やサービスがたくさんある。インターネットで調べる、図書館へ行く、知っている人に聞く、イベントに行ってみるなどして、知らないことを学んでいこう。そして、自分が知ったことを友達や家族に話して、いっしょに考えて、行動していくことが大切だ。みんなが大人になるころの地球がどうなっているかを思いうかべて、まよったら環境がよくなる方を選ぼう。これからも私たちがずっと住んでいく地球を大切にしないとね。